断熱塗料と遮熱塗料の違いと効果

住宅の屋根や外壁に塗る塗料に断熱塗料がありますが、これと紛らわしい言葉に遮熱塗料というのもあります。
まず、その違いを簡単に説明します。
断熱というのは、断熱材などでも分かるように、熱伝導率の低い素材を使って熱が伝わりにくくして、内外の温度差を維持することです。
遮熱塗料の場合はそれとは違い、熱反射率の高い素材を塗ることで太陽エネルギーを反射して、内部に入る熱を減らしてしまうものです。
そこで、屋根の表面に塗る場合を考えると、普通は塗料に厚みはあまりありませんから、断熱の作用は少ないと考えられ、断熱塗料と言われているものでも、実際には主に遮熱(熱反射)で室内の温度を下げる、つまり遮熱塗料の性格の強いものが多いようです。

けれども、断熱の機能のある塗料は無いのかというと、そんなことはありません。
文字通りの断熱機能を持つとされる塗料もあります。
こういった塗料の場合、塗膜の中にセラミックやシリコン樹脂で中空のビーズのようなものが何層かに重なって塗りこめられる形になり、熱伝導率の低い厚みを作り、断熱効果を生じさせています。
ただし、こういった断熱効果のある塗料の場合も、基本的に遮熱効果も同時に使って、熱を防いでいるのが普通です。

ここで、このような文字通りの断熱塗料と言えるものの機能をもう一度考えてみます。一つは、反射で防げなかった外気の熱が屋内に入り込むことを、断熱作用を利用して、もう一度防ぐ機能です。つまり夏の暑さの低減効果が遮熱塗料をさらに上回るということを謳っている塗料ということになります。
この種の塗料の場合、塗膜内に熱を溜めて、それが室内に入らないようにして外部に放熱するように工夫されています。
そこで注意しなければならないことは、一般の遮熱塗料のように塗膜の表面温度だけで機能を判定することは不公平だということです。
遮熱塗料ならば熱を反射して表面温度が上がらないほど優秀と判断できますが、そこを透過した熱を溜めて室内に入ることを防ぐ断熱塗料の場合は、表面温度はいくらか上がっても、室内の温度は上げないということになります。

さらに、遮熱塗料と異なる断熱塗料の機能として、断熱効果によって、冬に暖房された室内の熱が外に出ていきにくいということがあります。そこで、断熱塗料の場合は夏の冷房費だけでなく、冬の暖房費も節約できるということになります。